クレッセント十日市場

今回の案件は「クレッセント十日市場の区分所有」のマンションのインスペクションです。 依頼主はクランツ事務所が以前からお世話になっている保土ヶ谷に事業所を構える不動産仲介会社様です。今回の物件の付加価値を高めるためにインスペクション付きをサービスする方針のようです。

インスペクションには基本コースとオプションがあり、マンションのオプションは給排水管路の検査です。実際の実施は基本コースにプラスすることに①給排水管路+②コンクリート躯体強度確認試験 で行いました。

完成は平成16年で、長期修繕計画書も整備されて共用部の管理状況は良好です。外部から視認できる範囲ではクラックは認められません。そしてクラックやタイル目地から進入した水分がコンクリート中の石灰分と反応して析出されるエフロレッセンスも見当たりません。 長期修繕計画書によると2016年に大規模修繕工事を実施していることになっていますので、不具合箇所もほとんど無いのでしょう。共用部分には特に気になるところは見あたりません。

内部調査

クレッセント十日市場

続いて本来の目的の専有部分の検査に入ります。 登記上の面積は96㎡で、和室一室を含む4LDKです。リビングルームは16畳の広さがありとてもゆったりとした間取りです。 検査当日は、おりしも内装クロスの張替え中でした。まだ完成はしていませんが、逆に表面の化粧が終わっていない下地が検査できることから、クランツ事務所では極力施行前・下地が確認できるときに検査を設定していただいております。

二人のクロス職人が作業中でしたが、全ての部屋の外壁側内面と天井面を確認することが出来ました。そのどれも雨水や雨漏りの形跡は有りません。 さらに各部屋の床と壁の垂直・水平状況を確認します。現在の計測機器はデジタル水平器を使用します。このデジタル水平器は水平と垂直の傾きを1/1000単位で計測できるもので、以前ではレーザーレベルを使用して計測していたころと比較すると格段に作業性が改善されました。 計測の結果は全ての部屋で規定の6/1000未満に収まっていました。

給排水管路の確認では、全ての給水栓菅に漏水がないこと、また配水管路の排水に滞留がないことを確認しました。さらに水質については流しの給水を透明なコップに注ぎ、赤水の無いことも確認しました。

最後は、コンクリート躯体のコンクリート強度試験を行います。試験場所は対象住居のPSのコンクリート壁面にて実施します。実施方法は、非破壊試験機のシュミットハンマーを使用します。 基本的にコンクリートの強度試験は試験片をダイヤモンドカッターにて対象のコンクリートを筒状に切り取り、試験所に持ち込んで圧縮破壊試験を行います。しかしながら共有財産である躯体を区分所有者の目的のために削除して採取するわけには行きませんので、その場で行える簡易的な試験方法がシュミットハンマーによる「非破壊試験」なのです。

試験の打点は13箇所を行い、その中の9箇所を採用しました。 測定点の平均値は41.6N/mm2を計測して、基準の21.0N/mm2をオーバーしていますので合格です。このマンションはまだ築年数が若い設計です。近年のコンクリート強度はかなり高強度の設計配合となっていて、高いコンクリートの品質が維持されていることが確認できました。