鎌倉市浄明寺の戸建て

この住宅はその住所が示すとおり、鎌倉の浄明寺の近傍に位置しています。 今回の依頼主様も以前からお付き合いのある不動産仲介会社様からのご紹介でした。 築21年程度の二階建て戸建てを購入するに当たり、税制優遇(登記費用減税・住宅ローン減税)の利用と、購入後の瑕疵保証を受けたいとのご要望でした。

瑕疵保険にしろ耐震基準適合証明にしろ、それらが実際に保険の加入が可能か・耐震基準適合証明書の発行が可能かどうかの審査が必要です。クランツ事務所では正式な審査に入る前に採用が可能かどうかの事前判定を行います。

正式に審査に入ると実費が掛かりますので、仮に審査でNGになってもそれまでに掛かった経費を負担していただく必要が有ります。ただ、NGになったものはほとんどの場合で決済に至らない(売買契約破棄等)こともあるため、結実しない案件では請求しにくいのが実態です。

なのでクランツ事務所では事前審査と称して仮審査を行うのです。 長いことこの仕事に携わっていると、ほとんどの場合で簡単な図面でおおよその判断は出来るのです。

現地調査

鎌倉市浄明寺の戸建て

事前判定にて本審査に進めると判断しましたので、実際の現地調査を行います。

まずは、「ストリートビュー」にて外観のチェックを行います。これはとても便利です、事務所に居ながら物件の外観を見ることが出来るのです。クランツ事務所にとってこのシステムは業務上の必須アイテムとなっています。

資料からは大体の予想は付いていましたが、構造的には耐震強度に期待のできる形をしていました。それらの事前情報を踏まえて、実際の現地調査を実施します。 外観状の確認では、数年前に外装のリニューアルを実施したこともあり比較的綺麗です。 防水性能の確保に重要なサッシ回りや外壁のシール劣化も認められません。

内部では、資料の図面と現地が整合しているかの確認を行います。 増改築の形跡は無く図面のとおりです。 この段階で「税制優遇」だけを求めるなら「耐震基準適合証明書」の可能性があることが判りました。 あとは「瑕疵保険」の適合検査を行います。

瑕疵保険の適合検査で最も重要なことは、漏水がないことです。漏水は建物としての基本的な性能を維持していないことになるので保険に入ることは出来ません。なので全ての居室の外壁と天井を確認します。漏水のシミが確認できたらNGです。  漏水確認は天井は壁のシミ跡だけではなく、2階の天井点検口から小屋裏内部の屋根裏も目視で確認します。 それら全てで漏水の形跡は有りませんでした。

そのほかにも確認事項があります。 バルコニーの防水層の状況確認とトップライト(天窓)周りの漏水確認です。 この住宅は10畳ほどの大きなルーフバルコニーがありました。このバルコニーの下は和室です。防水層の劣化状況・排水口の適切配置・防水層の立ち上がり部分の納まり等を確認しましたが、全て健全でした。

トップライト(天窓)もとても重要な確認事項です。 この部分はとても漏水事故の多いポイントになっていますので、念入りにチェックを行います。健全であることの証拠写真を多めに撮影する必要が有ります。この部分も健全でした。

全ての現地調査は無事に終了し、あとは報告書にまとめることのみです。

耐震基準と住宅瑕疵保険

鎌倉市浄明寺の戸建て

この住宅は、現地調査の結果では「耐震基準適合証明書」「既存住宅個人間売買瑕疵保険」のどちらでも採用ができることが現地調査によってわかりました。 費用的な面から言えば、「耐震基準適合証明書」のほうが安いです。

どちらでも可能の旨をご報告したところ、多少の費用が掛かっても瑕疵保証のあるほうにしたいとのことでした。 「耐震基準適合証明書」「既存住宅個人間売買瑕疵保険」のどちらでも、登記費用の減税・住宅ローンの減税を受けることが出来ますが、入居後の安心を考えて「既存住宅個人間売買瑕疵保険」に入りたいとのことでした。 新築住宅は10年間の保証が自動的に付きますが、既存住宅の売買では売主からは何の補償も受けられません。

この住宅の買主様は購入後の安心のために「既存住宅個人間売買瑕疵保険」を採用しました。内容は保険期間が5年、最大補償額が1000面円でした。