エステシティ湘南六浦5号棟

今回の対象住宅はエステシティ湘南六浦の5号棟内の区分所有になります。このレポートは「住宅状況調査」ですが、実はこのマンションには2回目となります。 一回目は「耐震基準適合証明」の審査でした。耐震基準適合証明とは、築25年以上が経過したマンションの場合では住宅ローン減税や登記費用減税を利用できません。これを利用できるようにするのが「耐震基準適合証明」です。なので今回は2回目となります。

話がわき道にそれましたが、とにかくエステシティ湘南六浦5号棟です。場所は金沢区六浦5丁目に位置します。京浜急行六浦駅から南へ地図上では1キロほど南に位置します。かなり小高い丘陵地を巧みに利用したレイアウトに配置されている小ぶりなマンションの集合体です。今回はその中の5号棟でした。

六浦駅から徒歩7分~18分、小学校と横浜横須賀道路(16号)の間の道路沿いに展開する9棟のマンション群です。六浦駅から近い順に1号棟~5号棟、壱番館・四番館・参番館・弐番館と並び、1~5号棟は1988年7月の竣工で、低層3階建ての落ち着いた雰囲気のマンション。一方、壱~四番館は1989年3月~~1992年9月にかけて順次竣工した11階・14階建ての都市型マンションです。

5号棟の構造規模は、壁式鉄筋コンクリート造3階建て、総戸数は18世帯です。1888年の7月に熊谷組によって竣工しています。壁式鉄筋コンクリート造とは、普通のマンションに見られる柱や梁が無い構造です。柱や梁ではなく壁で支える構造です。外観の特徴は、北側に廊下が無く、階段から直接に自分の住居の玄関ドアから入れます。一つの階段の両脇に住居があるので、この5号棟は3箇所の階段が設置されています。強い耐震性と高いプライバシーが確保できることも大きなメリットです。

提供された鍵にて入室します。このマンションはセキュリティはかかっていませんので入室は比較的楽に出来ました。住宅は角部屋の4LDKで玄関ドアの他に勝手口が設置されていて主婦にはとても使い勝手がよさそうです。築年数が30年以上となるために内部はフルリノベーションされていました。システムキッチン・ユニットバス・洗面化粧台・水洗便器などの水周りは全て最新型に取り替えてあり、部屋だけ見ると新築マンションとまったく変わりません。

内部の状況調査

エステシティ湘南六浦5号棟

早速に状況調査に入ります。 全ての部屋の壁や天井に漏水跡がないことを確認します。合わせて床の水平状態・壁の垂直状態が規定値以内の傾きに入っていることを確認します。さらに建具の開閉に異常がないことも確認です。その全てに問題が無いことがわかりました。

南面と北面に設置されているバルコニーに出て、防水状況と躯体の状況の確認を行います。まずはサッシ下端と防水層の立ち上がりに異常がないこと、サッシと壁の取り合い部分に施されているシールに弾力性が残っていること、排水溝と排水ドレインの確認、壁やスラブに構造クラックやエフロレッセンスがないことを確認しました。あわせて手摺や物干し金物の取り付け状況の健全性の確認も行いました。その全てに異常は有りませんでした。

最後にコンクリート強度の確認を実施します。状況調査におけるコンクリートの強度確認は、「非破壊試験」で実施します。非破壊試験とは、実際にコンクリートを採取することなく実施できる簡易の試験方法で、ジュミットハンマーを言われる特殊な機器を使用します。画像にあるのがそのジュミットハンマーです。

試験場所はコンクリートがお化粧をすることなく露出している場所になります。そんな場所はほとんどの場合でパイプスペースです。このマンションもそのPSで試験を行いました。試験は9ポイントトの平均値で行いますが、試験結果は規定値を十分にクリアーする数値が確認できました。 

このマンションは高い構造強度を有している壁構造で、来るべき大地震でも十分に耐えられます。さらに内部をフルリノベーションしていることからかなり高い品質が確認できました。状況調査としても高いレベルで修了することが出来ました。